2023.07
息子のチームではたまに合宿が組まれる。この日は合宿というより遠征。遠方で行われる大会に1泊2日で出場するのだ。遠方と言っても車で1時間ちょっとの場所なので試合を見学することは可能。去年は息子の経験になるかと思い、あえて見学には行かなかったけど、今年はこのチームの最後の夏になるので見学することにした。
会場は、めっちゃいいとこだった。
ピッチの向こう側に高原が広がる美しい景色。ちょっと高地だからか真夏日なのに風があって涼しさすら感じる。こんなところで毎年試合してたなんて・・・去年も見学に来たら良かった・・・と密かに後悔した。
とにかく景色が最高!
避暑地のような気候が最高!
これでクラフトビール的なものがあれば、なお最高だった!
ちょっともう試合とかどうでも良くなってきて木陰で快適に読書とかした。でもせっかく試合を見に来たわけだからと、ちらっとピッチを覗いてみたら、ちょうど息子が派手にミスしていた。ベンチから激と失笑が飛ぶくらい初歩的で派手なミス。相変わらずだ。しかし、この雄大な自然の中ではそんなミスなど些細なことなのだ。今日はもうサッカーどころじゃない。そんな風に割り切って、爽やかな気持ちで穏やかに、試合を観戦することにした。
一言で言えば、この日の息子はふるわない。
やる気がないようにすら感じられた。
これは困った。父親のテンションとリンクしているのではないか。
この雄大な自然の中で人一倍あったはずの闘争本能が消されてしまったのではないか。
出来が悪い。
この日は3試合が行われたが、結局全敗だったらしい。息子もノーゴール。チーム全体が勝ちよりもチャレンジすることにこだわったらしいが、チームの結果にも、息子の出来にも、モヤモヤする感じはあった。しかし、この雄大な自然がすべて帳消しにしてくれたので、ぼくは気持ちよく帰路についた。
後日、聞いたところによると、合宿2日目は3試合全勝だったらしい。チームとしては持ち直した印象の中、息子はと言うと、やっぱりイマイチだったらしい。試合後、笑顔のチームメイトをよそに息子の表情は沈んでいたらしい。
ちょっと心配にはなった。けど、数日後に送られてきた合宿の写真には、見たこともないような生き生きとした表情でカレーを貪る息子が写っていた。狙ったかのようにほっぺに米粒が付いていたのがちょっとイラッとした。
しかし、子供は親が思っているよりタフで打たれ強い。
少年サッカーの試合なんて、雄大な自然の景色を楽しみながら、ビール片手に適当に観戦するくらいがちょうどいい。そんなことを思った。