2023.07
この日は、年に2回ある大きな大会の1つが行われた。50チームくらいが参加する大会で勝ち進めば全国大会に出場することができる。チームにとってはひとつの節目みたいなものでこの大会にかける想いは強い。
が、しかし、結論から言うと予選リーグ敗退。
3チームが総当りする予選で1勝もできなかった。以前からコーチに言われていたのは「大会になると初戦の入り方が悪すぎる」ということ。たしかに外から観ていても初戦の動きは極端に悪い。日本代表とかの試合放送でもよく言われるこの「初戦の入り方」。ほんとはもっとできるはずなのに、息子のチームは初戦の動きがカッチカッチになることが多い。もっとできるはずなのに。謎である。
ともかく、この日の息子はベンチスタートだった。試合は序盤から押し込まれまくり、自陣でしかプレイできない状況が続いた。何とか前にボールを運びたいけど、守備の網に引っかかる。こういう苦しい展開の時、縦への推進力というか突破力というか突進力がある息子には、そのうち出番があるのかと思った。が、結局最後まで出場しなかった。試合後に聞いてみたら、忘れ物をしたから罰で出してもらえなかったとのこと(笑)
え?
大事な大会なのに?
忘れ物?
どんな理由だ(笑)
こいつは緊張感がなさすぎる!それかよっぽどの大物なのかも……親としては後者であることをセツに願うばかり。
結局1試合目を落とした時点で、決勝リーグへの進出はほぼ可能性がなかった。2試合目はスタメンで出場した息子が先制点を決めるも終わってみれば2対5の惨敗。夏の大会はあっさりと幕を閉じ、それと同時に秋の大会に向けたチームの再生がスタートした。
思うに、初戦の入り方が悪いのは慎重であろうとするがためな気がする。「まずは守備から入って様子見」みたいなのがセオリーとしてあるようで、テレビのサッカー解説者もそんなようなことを言っていた気がする。
「わずか90分しかないのに、様子見とか言っているうちにペースを握られるんだよ」いつか誰かがテレビで言っていた言葉を思い出した。ましてや小学生のサッカーは40分程度。勝ちに行く気持ちを誰よりも前に押し出し、ボールも前に押し込んでいく。そんなチームが上に行くのだろう。勝ったチームの喜び方を見ながら、ぼくはそんなことを思った。
ましてや、大切な大会に忘れ物をした息子に、次のステージに行く資格など与えられる余地はない。
そんな話を帰りの車で息子にしたら、
夏の忘れ物は、秋に取りに行かないとな・・・
みたいな、どこかの漫画からパクってきたようなセリフをはいた。
一瞬、うまいこと言うやんと思ったけど、
よくよく考えてみると1ミクロンもピンと来ないことに気づいた。
これは、もっとシンプルに、大事な大会に忘れ物をするなというだけの話なのだ。
ただ、きっと、このふてぶてしい子どもは、大物になるに違いない。
親バカのぼくはそう信じようとしている。