ゴーシューッ!のゴングが鳴ったら、大人も子供も関係ない。ベイスタジアムの上では誰もがフラット。そう、例え我が息子とて、手加減するわけにはいかないのだ。
ふっ、オレのワルキリーを侮るなよぉ!
中2感全開で息子が叫ぶ。
ふっ、6歳児が!言うようになったじゃないか。
30代の怖さを思い知るがいい。
勝負は3本。2回勝ったほうが風呂掃除の当番を免れるのだ。
それが親子のルールだった。
ベイブレードの良いところは、幼い息子と真剣勝負ができるところ。下手に手を抜いたり、気を使うことなく勝負できるところがいい。他の遊びではなかなかそうはいかない。ぼくにとって子供の扱いは難解で、こっちが勝ってばかりいると機嫌が悪くなるし、かと言って手を抜いているのがバレると、ヤル気をなくされてしまう。子供はむずかしい。
#ベイブレードの思い出。息子との初めての真剣勝負。
初期の頃こそぼくが連勝していたが、そのうち互角の勝負が繰り広げられるようになった。仕事に行っている間、息子は研究を重ねたらしく、見たこともないような禍々しいベイを作って待っていたこともあった。休日なのに早朝に起こされて、まだ薄暗いなかをゴーシューッし続けたこともあった。誤ってスタジアムを壊してしまったときは泣き止まず、ワンランク上のスタジアムを買わされたこともあった。
ハマっていたのは、おそらく1年くらいだろう。
子供の成長は早いもので、いまはもう別のことに夢中。
今日はベイブレードやらんの?
と聞いたとき、
あー今日はいいや
って言いながらサッカーの練習に出かけた息子の姿を思い出す。
今度はサッカーで真剣勝負しようぜ。
まーお父さんサッカーしたことないから勝負にならないかも。
あと、あの頃は言えなかったけどさ。
「ワ」ルキリーじゃなくて、「ヴァ」ルキリーな。
いつか自分で気づくかなって思ってたけど、最後まで「ワ」で押し切ったよな。
そういうの気になるんだよ。30代の大人は。