【旅行】忍者の謎に触れる、夏(石川県/金沢市)
曇り予報ではあったが、到着してみると晴れ間が少し広がっていた。日差しは弱く、風が涼しく、夏の終わりを感じさせた。
3~4年前から、夏の締めくくりは1泊2日の国内旅行と決めている。一昨年、昨年は、コロナで断念した。再開した今年の行き先は、金沢。
個人的には、10年前に一度訪れている。が、記憶はほぼない。たしか、ベタな観光地を少し巡り、片町でダーツバーに入り、ハブ酒で泥酔した。極めてどうでもいい思い出しか残っていない。
小学5年生の息子には、やや渋めのチョイスではないかと心配していた。実際、金沢は良い所だが、渋めの観光スポットが多いのだ。兼六園、21世紀美術館、金沢城、ひがし茶屋街……修学旅行のコース並みに、渋い。金箔が有名ではあるが、色で例えるなら金沢は「茶色」のイメージだ。
※あくまでも個人的なイメージです。
そこで、ギリギリ金沢の要素もあるが、なかなかにトリッキーなスポットを旅の初っ端にぶち込み、まずは息子のハートをキャッチすることにした。
へ~金沢、意外とおもしろいじゃん!彼の少年にそう思わせるのが狙いだ。
そんなわけで、北陸自動車道「金沢東IC」を降り、まいもん寿司本店で昼食を済ませた後、まず向かったのがここ。
忍者武器ミュージアム……
え、金沢で?
忍者?
イメージないなー
ぼくは三重県出身なので、忍者といえば問答無用に「伊賀上野」なのだ。百歩譲って、お隣の滋賀県「甲賀」が思い浮かぶ。
ところが、この忍者武器ミュージアム、ひとことで言えば、最高でした…(TдT)
最近、なぜか『NARUTO』にハマり始めた息子のテンションも爆上がり。
場所は、有名なひがし茶屋街、じゃない方の茶屋街「西茶屋街」の入り口付近。
入ってすぐがお土産売り場、1階奥に手裏剣体験場、2階に展示室。ざっくりとそんな配置。広さは駅ナカとかにある縦長のドトール程だろうか。それほど広くはない。
展示室の入館料は良心的。手裏剣体験は下記とは別。(500円くらいだったと思う)
大人:500円
学生:400円
小人:300円
展示室にはズラッと忍者の武器が並んでいた。そのほとんどが実際に使われていたというから驚きだ。
しばらく眺めていると、スタッフの方が1人階段を上がってきた。ゆったりとしてはいるが、時折熱がこもった熱い語り口で、忍者について、武器について、丁寧にアナウンスしてくれた。
その中に、興味深いエピソードがいくつかあった。
①水器の使い方は、実はまだ謎のまま。
これはびっくりした。展示物の中で唯一のレプリカがコレらしく、古文書などの文献を頼りに、形は再現出来た。
が、どのように使っていたのかは想像の域を出ないとのこと。
実際に研究者の人が、写真中のイラストのように、水器を2つ足に着けて実験してみたところ、見事に沈んだらしい。
おそらく、この使い方は後付のイメージ。実際は、浮き輪のような使い方だったのか、はたまた腹ばいになってアメンボのようなスタイルだったのか、まだ結論は出ていない。
真実は、忍者の如く霞がかっているがゆえに、想像は無限に膨らむ。結果、実態おぼろげなミステリアスな存在として、忍者は人を虜にするのだ。徐々にヒートアップするスタッフのアナウンスを聞きながら、そんなことを思った。
②短刀は忍者と侍で太さが異なる。
細かい話は忘れてしまったけど、要するに侍の方が刃が太い。侍は殺傷力、忍者は機動力が大事だから。ざっくりとそんな理由らしい。短刀を下から眺めてみるとよくわかった。
スタッフの方が、それぞれの使い方をアクション付きで教えてくれた。忍者好きの息子はもちろん、ぼくも意外と興味深く聞き入っていた。ただ、ぼくを敵に見立ててのアクションだったので、やられた演技をすべきか判断に迷った。筋金入りの恥ずかしがり屋なのだ。
その他にも、
●忍者の刀は塀を登る時にも使うため、立てかけやすいよう鍔が四角になっている。
●トゲトゲ鉄球みたいなヤツは、軽くするため球体部分は実は木でできている。
などなど、興味深い話がたくさん聞けた。
なかでも、息子とぼくのハートをがっちり掴んだのがこれ。
九字護身法(くじごしんぼう)
漫画とか映画でよく見る
臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!
みたいなやつ。
九字の呪文と九種類の印によって勝利を祈る作法らしい。NARUTOのキャラが印を結ぶシーンは、息子のお気に入りなのだ。
スタッフの方に促されながら、最初は照れつつも、イキイキとした表情で印を結ぶ息子を見て、ぼくはこの金沢旅行の成功を予感した。
その後、手裏剣体験を楽しみ、約1時間ほどでミュージアムを後にした。
空を見上げると、晴れ間は広がり、日差しは多少強くなっていた。猛暑とまではいかないが、やや暑い。さらさらシートで汗ばんだ腕を拭いながら、なるほど、夏はまだ終わっていないのだと感じた。
この夏の我が家のメインイベント「金沢旅行」は、そんな感じで始まったので、ござる。