本のサイズをひとつに統一してほしいとずっと思っている。
色んなサイズの本が混じり合っていると管理が難しくなるのだ。
「ぜんぶ同じサイズにすればいいのに」
と会社の人たちに言ったら、それでは趣が無いぜと失笑された。
「やれやれだぜ、効率化が全てですか?」的な一種の軽蔑を帯びた視線が痛かった。
確かにそれも分かるけど、ぼくはやっぱり全部同じサイズにして欲しい。
統一するなら文庫本サイズがいい。
コンパクトだから持ち運び便利。
電車の中でも気軽に読めるから嬉しい。
ちなみに文庫本とは、単行本の刊行後に、価格を抑えるためにサイズを小さくして販売される叢書のことらしい。何だ叢書って?と思ってググったら、「本のシリーズ」のことらしい。つまりあれか、売れた本なら待てば文庫本になるってことなのか。ひとつ勉強になった。
そんな風に本のサイズについて、同僚たちと語りながら思い出していたのは、文庫本サイズの漫画の存在を初めて知った時の鼻の奥を突き抜けるような、あの爽やかな衝撃だ。
たしか20代後半位の時、当時ハマっていた『ジョジョの奇妙な冒険』が文庫本サイズで販売された。
速攻で本屋に走った。
会社の休憩中にヤフーニュースか何かで知って、その5分後にはオフィスの裏にある本屋にいるくらいのスピード感だった。
あの大好きなジョジョが、ぼくがベストサイズと考える文庫本サイズで買えるだとぉぉぉぉぉぉ……しかもオリジナルBOX&ステッカー付きだとぉぉぉぉぉぉぉ
実物を目にしたら、本当に理想通りのサイズ。思わず叫びたくなるのを何とか堪えたとか、堪えなかったとか。その日はとりあえず、一番好きな第5部を買って、そこから少しずつ全巻揃えていった。
少しずつ本棚にジョジョシリーズが揃っていくのが嬉しかった。毎日一冊ずつカバンに入れて電車の中で読んだ。会社のジョジョ好きたちと回し読みした。ファミレスで友達と並んで無言で熟読した。
やっぱり文庫本サイズは、フットワークが軽くていい。
でも、この感覚、突き詰めると電子書籍で良くね?ってことになる。突き詰めなくてもそうなる。効率化が全てじゃないけど、時代の流れには抗えない。
忍者が咥えそうな巻物を家に揃えている人がほとんどいないように、そう遠くない未来、ぼくのジョジョは文庫本サイズからスマホサイズになるに違いない。