生まれた場所が悪かった。
生まれた瞬間から退屈が隣にいた。
地元が田舎すぎる問題。
微妙に深刻な問題だ。
油断するとすぐに退屈がやってくる。
保育園の頃には自転車を自在に操り、
ひと山越えた所にある友達たちの家まで遊びにいった。
ただ、そもそも人口が少ないから、
友達たちの予定が詰まっていると絶望的だ。
仮に友達がつかまっても、田舎の遊びは限られている。
いずれ退屈はやってくる。
ある日、退屈を持て余したぼくとある友達が生み出した遊び。
通称「お金拾い」。
生まれ育った小さな町を端から端まで歩き回って、
落ちているお金を拾い交番に届けるという遊び。
落ちているお金を社会のサイクルに戻すのだ。
これは画期的だった。
めちゃめちゃ楽しく、有意義で、そして持続する遊びだった。
1日じゃとても終わらない。
次の休日も続きから楽しめるのだ。
RPGのセーブのような気分だ。
最もホットなスポットは、自販機周辺だった。
重点的に見て回った。
なぜか悪いことをしているような感じもあって、
2人だけの秘密にした。
溝の中を探っている時、凶暴な猫に襲われたことがあった。
100円玉と間違えて、得体の知れないアルミ片を大事に握りしめていたこともあった。
ある程度集まったらお巡りさんに届けた。
笑顔で褒めてくれたお巡りさんは優しかった。
でも、ある日、友達が怪我をした。
お金を拾おうとして足を滑らし、顔面を溝に強打した。
それ以来、その楽しい遊びは禁止された。
ただ、今でもたまにその友達と会うと、その遊びの話題で盛り上がる。
時を経ても尚、ぼくたちを楽しませてくれるその遊び。
プライスレスな思い出なのだ。
今週のお題「何して遊んだ?」