隣に3歳の男の子が住んでいる。
好奇心が強く、機敏にちょこちょこ動く、リスっぽい男の子。
歩き始めたばかりの頃は、おしゃれな子供服を身にまとい、バスケ選手並みのアジリティで、追いかける大人たちを次々と振り切っていくシーンをよく見かけた。
好奇心旺盛なリスくん。
救急車やパトカーのサイレンが聞こえると、勝手に外に出てしまい、静止するとギャン泣きらしい。余談だが、実家の隣の人が飼っていた犬のジョンも救急車が通り過ぎると、カッコいい低音ボイスで遠吠えしていた。サイレン音は動物の本能に響くのだろうか。
そんなリスくん。最近はなんとゴミ収集車にハマっているらしい。ゴミ収集が来る時間になると、家から多少距離がある収集場所まで走っていって、収集作業をニコニコと嬉しそうに見ているらしい。ここ数ヶ月、毎朝そんな調子。
ある朝、出勤の準備していると家の前を収集車が通った。ぼくの家は少し奥まった所にあるので収集車が通るルートではない。不思議に思って嫁さんに訪ねたところ、どうやらリスくんのために、収集スタッフの方が少しだけ遠回りしてくれているらしい。収集場所までダッシュしてくるリスくんを見て、スタッフの人が事故に合わないか心配してくれたのだ。
今日の朝も、リスくんは玄関先に出て、収集車を見つけると元気に手を振っていた。収集車はリスくんの家の前で少しスピードを緩め、スタッフの方は優しく手を振り返していた。
なんかいい話だったので記憶しておこうと思った。
世の中捨てたものじゃないなと思った小話。